持続可能なカカオ栽培を実現する先駆的試み

ガーナに住むクワメ・オセイさん(65歳)は末娘が彼のカカオ農園を将来継いでくれることを夢見ています。その夢が実現する可能性は高いでしょう。リンツ&シュプルングリーのファーミングプログラムの様な革新的な調達モデルが、農家にとってカカオ栽培を再び魅力的にしているのです。

クワメ・オセイさんは、ガーナでリンツにカカオを納入している42,000軒の小さな農家の一人です。チョコレートの製造に不可欠なカカオは、赤道付近の限られた地帯で栽培されています。丁寧な仕事を徹底しているにも関わらず、カカオ農家の大半は貧困状態にあります。多くの業者が間に入る不透明な取引経路、狭い農地、不適切な農作法、資材の調達不足、老化するカカオの木とその管理の難しさ – これらすべてが農家の低収入につながっています。その結果、多くのカカオ農家はその栽培に背を向け始めています。

独自の調達方法でトレーサビリティを実現
カカオ農家とその家族に、必要としている援助を提供
これらの問題を克服するため、リンツ&シュプルングリーはここ数年間、世界でも有数のカカオ栽培地の農家と密接に協力してきました。そして、2008年、リンツチョコレートに欠かせないカカオの大半を仕入れているガーナのために、カカオのトレーサビリティを実現する特別な調達モデルを、リンツのガーナにおけるサプライチェーン・パートナーであるアルマジャロと国営機関ガーナ・カカオ委員会と共に開発いたしました。狙いは、現地の農家の環境を改善すると同時に、良質なカカオが将来的にも十分手に入るようカカオ栽培の魅力を高めることでした。願わくは、農家や地域全体の暮らしと生活環境の改善とともに、児童労働のリスクと劣悪な労働環境が減少することです。このシステムのおかげで、購入された豆がどこから来たのかを把握できるようになりました。このような透明性がカカオの品質を守ると同時に、現地の農業生産者を取り巻く社会的環境や、環境条件を理解することを可能にし、さらに農家は必要としている援助を受けることができるのです。つまり、トレーサビリティは現在と未来において持続可能なカカオの調達を保証する鍵なのです。
この調達モデルの導入で、カカオ栽培地の生活は様々な形で改善してきました。栽培地の農作法と社会環境を改善するために厳選された、リンツのローカルパートナーで非営利団体のソース・トラストが実施しているプロジェクトが、該当地域の農家に恩恵をもたらしています。そして、これらのプロジェクトを支えているのが、ガーナで栽培されたカカオに対してリンツ&シュプルングリーが任意で支払っている奨励金です。リンツとソース・トラストは、現地での活動を通して農家のニーズを把握し、現地の人々が本当に必要としている援助を行っております。例えば、農家に繊細なカカオの木の適切な育て方を教えるトレーニングプログラムなどがあります。クワメ・オセイさんはこういったプログラムを受け、カカオの木を病気から守るなど、収穫量を増やすためのより良い栽培法を学びました。「有機肥料の使い方を教わってから、収穫量を大幅に増やすことができました。」

独立した方法
このユニークな調達モデルを通じて、チョコレートの製造に欠かせないカカオを、社会的・環境的に持続可能な方法で調達できるようになりました。また、独立した機関が監視と評価を行うことで、持続可能な調達モデルが信頼できる形で機能し、常に進化し続けることができました。私たちはあえて有名なラベルをリンツのチョコレートに付けることを選びませんでした。何故なら、特定の栽培地からリンツが求める品質及び必要とするフレーバーのカカオを、必要な量調達することを保証することは不可能だからです。この調達モデルでリンツ&シュプルングリーは、クワメ・オセイさんの夢がいつか叶い、娘さんがカカオ栽培を魅力的な収入源と捉える日が必ずくるように、対策を講じております。
